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未完が、立ち返りを呼ぶ

円弧は、完全な円の一部です。だから、見る者の中で、自然と全体が補われる。

本も、建築も、本質的にはこの弧だと思っています。書き手・建て手が差し出すのは断片にすぎず、残りは、読み手・訪れ手が時間をかけて埋めていく。

そもそも、たった一つの単語でさえ、書き手と読み手で思い浮かべるものは違います。それが一文になれば、ましてや一冊になれば、書かれたものと受け取られたものとのあいだに、必ず余白が残ります。「完全に理解した」と言い切れる瞬間は、たぶん訪れません。

だからこそ、何度も立ち返る。年齢や経験が変われば、補い方が変わる。同じ円にはならない。一回ごとの読み返しが、少しずつ、円の輪郭を整えていく。

時間で表情を変え、細部に宿るものがある。

名前の archarc も arch(建築)+ arc(弧)から。弧は閉じきらないからこそ、人を何度も呼び戻す。立ち返り、蓄えていく姿勢が込められています。

archarc は、完成を急がず、何度でも補いにくる場所。

閉じきらないままつないでいく。

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